アルコール依存症は、特殊な人がなるというイメージですが、実はそうではありません。
例えば体調が悪くなり、お酒を控えたいと思うのに、どうしてもできないという人、お酒を飲んで失敗し、「もう飲むのはやめよう」と思っていても、やっぱり飲んでしまう人などは、広い意味でのアルコール依存症に含まれます。
次の2つの条件のどちらかに当てはまると、アルコール依存症とみなされます。
★連続飲酒
一日中アルコールが入っている上体が2日以上続く場合です。
アルコール対する寛容度は国によって異なり、日本では甘くて、週末の2日間は酒を飲み続けてもまあ、許容されます。
しかしこれが月曜日まで持ち越されると連続飲酒とみなされます。コントロールが利かなくなり、平日になっても飲み続けてしまうのです。
★身体的依存
初期症状として、暑くもないのに寝汗をよくかく、飲んだ翌朝は文字がうまく書けなくなる、イライラして怒りっぽくなる、飲まないと眠れない、飲んで寝ると悪夢を見る、眠りが浅いなどの状態が引き起こされます。
社会に出て働いている人でも、アルコール症予備軍はかなりいると言われます。
アルコール依存症になると様々な病気が引き起こされます。
アルコールを代謝する肝臓なら、
アルコール性脂肪
↓
アルコール肝炎
↓
肝硬変、さらに…
↓
肝臓がん
というのが最悪のパターンです。
アルコール性高血圧、慢性膵炎、糖尿病も考えられます。
アルコール障害により脳が委縮し、物忘れや痴呆につながります。
アルコール依存症の場合、こうした病気を複数、併発するパターンが多いです。
しかも女性はアルコール依存症になりやすいことが確認されています。
習慣的に飲酒している場合、同じ酒量でも男性より女性の方が依存症になりやすいのです。
理由はいくつかあります。
・血中のアルコール濃度が高くなりやすい
女性は男性より脂肪が多く、油に溶けにくい性質のアルコールが体内に浸透しにくいためです。
・女性ホルモンの影響
女性ホルモンはアルコールの分解を妨げるためです。
・家飲みが多い
人間関係がうまくいかずに不安、喪失感が高まるとお酒で発散させたくなりますが、男性は外に飲みに行くのに比べ、女性は家の中で一人飲みすることが多く、依存症が発見されにくく、促進させてしまうためです。
・摂食障害の進化形
ダイエットがきっかけに摂食障害に陥る女性は多いです。
摂食障害は過食と拒食がありますが、どちらも「飲食をコントロールできていない状態」です。
10代の頃に摂食障害となり、成長してお酒を覚えると、割と簡単にアルコール依存症に陥ってしまいます。
アルコール依存症治療は断酒が基本です。
しかしコントロールできずに依存症になっているのですから、断酒は並大抵の努力では成功しません。
したがって、通院して意思の管理を受けながら抗酒剤を服用する、断酒会などの自助グループに入って励まし合いながら進めていくという方法がとられます。
断酒に成功したら、お酒のない生活に慣れるために3か月は続けるようにしましょう。